外国語学習における5つの能力と、動的言語能力の伸ばし方。

語学学習における5つの能力

外国語を習得するためには5つの力を養う必要があります。

  1. リーディング(読み)
  2. ライティング(書き)
  3. スピーキング(話し)
  4. リスニング(聞き)
  5. 翻訳

そして、これら能力は以下の3つのカテゴリーに分けることができます。

  1. 静的な能力:ひとりで完結することができる静的な側面を持ったリーディングとライティング
  2. 動的な能力:他の人との交流が必要となる動的な側面を持った、スピーキングとリスニング
  3. 総合能力:ある言語を他の言語に変換する翻訳

語学学習ステップと結果パターン

人によって語学学習のステップは異なりますが、日本人にとっては以下の流れで外国語を勉強するのがスタンダードです。

静的 → 動的 → 翻訳

対照的に欧米の人々は以下の流れで語学を学びます。

動的 → 静的 → 翻訳

どちらが良いというのは無くて、語学を学ぶ人が何に重きを置いているかで違いがあります。

日本人はまず文法やイディオムなどをしっかりと勉強して、全体像を理解した上で実践的な能力である動的な側面に移行します。

欧米人はまず会話できるようになる事を優先するので、文法など書面の学習よりも、動的な能力に力を入れます。

このような違いがあるので、語学学習の結果以下のようなパターンが発生します。

  1. 読み書きが出来るけど、会話ができない日本人
  2. 会話はできるけど、読み書きができない欧米人

長年学校で英語を勉強してきたけれども、実践での英会話ができないというのは日本人には良くあるケースですね。

これは静的な学習は良くしてきたけれども動的な側面での学習が足りていない事が原因です。

会話ができるようになるためには、スピーキングとリスニングの動的能力を鍛える必要があるのです。

スピーキングとリスニングは動的な言語能力

この動的な語学力は、静的な語学力とは別の側面です。

従って、静的な能力を完璧にしても、動的な力が鍛えられるわけではありません。

スピーキングとリスニングができるようになるためには、それ専用の学習をすることが必須という事です。

動的な語学力をあげるには例文暗記と発声練習が有効

スピーキングとリスニングは、すなわち相手との会話そのものです。

相手の言っていることを聞き取り、自分の考えていることを相手に伝える。

会話はリアルタイムでするものなので、瞬発力が必要です。

相手が言った言葉を聞いて、その内容を理解する。

そのためには相手の口から出てきた単語や文章の意味を予め知っていなければなりません。

また、あなたが言いたい事を表現するにしても、その内容を表す単語と文章の組み立て方を理解している必要があります。

すなわち、自分の頭の中に対象の言語をインストールしている事が、外国語会話においては必須事項という事です。

あなたは日本語を使って人と会話する時は、特に単語や文法を意識しないと思いますが、それは日本語があなたの中にインストールされているからですね。

言語のインストール

では、どうすれば外国語をあなたの頭にインストールできるのでしょうか?

会話ができるようになるためには、その会話の表現を暗記して、音読することが不可欠です。

「なんだ、結局そんな単純なことか」と思うかもしれませんが、語学学習とはすなわち外国語を暗記することです。

暗記と練習なくして語学はマスターできない事は再認識しましょう。

言語能力は現場での場数をこなすことでのみ上達する

と、ここまで語学学習の本質的な、そしてシンプルな理論を説いてきましたが、そういうぼくも中国語学習においてボトルネックにはまってきました。

上記良くあるパターンの、読み書きができるけど、会話ができないという状態に陥っていました。

コツコツと中国語学習を頑張ってきて、検定試験もパスしてきたけど、どうにも会話力があがらない、という悩みです。

そこで、語学学校の先生に相談したり、マルチリンガルの友達にコツを聞いたりしてきました。

リサーチの結果分かったのは、「外国語で会話ができるようになるためのコツは、場数をこなすこと」ということです。

リアルタイムで外国語での会話を経験することで生きた言語を学べます。

なので外国語を話す機会をできるだけ創り出して、自分をその状況に放り込むのが会話上達への唯一の方法です。

場数をこなすのにも効率的な方法がある

場数をこなすのは最も重要な学習方法ですが、ただ突入するだけだと効率が悪く、吸収するのに時間がかかります。

場数をこなす前に準備をしておくことで、あなたの学習効果は飛躍的にあがるのです。

その準備は何かというと、ずばり「暗記」と「発声練習」です。

単語、表現方法を暗記して、それを口から発する練習をした状態で場数を踏む。

そうすることで効率よく生きた言語を吸収することができます。

暗記学習の例:訓話を覚えて発声練習する

例えば以下のような中国の「訓話」を覚えると、応用できる箇所がたくさんあることに気づきます。

折箭训子

古代南朝时期,一位少数民族首领有二十个儿子。
有一天,这位父亲对他的儿子们说
“你们每个人给我拿一支箭来。”
箭拿来以后,父亲把箭一支支折断,并扔到了地上。

然后,他又叫儿子们再拿一支箭给他。
他把其中一支箭拿给他弟弟,并叫他把箭折断。
他弟弟一下子把箭折为两段。
首领又对他弟弟说
“你把剩下的十九支箭折断。”
可是他弟弟不管怎样用力,箭还是折不断。

首领指着这些箭对儿子们说
“你们明白了吗?一支箭是很容易被折断的,但一把箭很难被折断。
由此可见,只要大家一起努力,我们的名族就会强大起来。”

 

この話は、日本でいうところの「三本の矢の話」と同じです。

1本だと簡単に折れるけど、複数本あれば折るのは非常に難しい。

つまり、団結することによって強大な力を発揮できる、という教訓です。

 

話としては弓矢が出てきたりでちょっと現在には合わない感じもするのですが、表現方法としては現代の日常生活で活用できるものが多々あります。

例えば簡単な例で、「~に対して言った」の表現は「对~说」と表現するだとか、「~を持ってこさせる」は「把~拿来给我」という表現をするのだ、という事が分かります。

この表現方法を覚えてしまえば、日常生活ですぐに使えます。

これら表現はもちろん文法的な観点から理解することも重要ですが、文法の観点は置いておいて、単純にひとつの表現方法として暗記してしまうことで、実践で使う事ができます。

このように文章を暗記してしまい、それを日常生活に当てはめて使える表現を暗記していく事で、多くの表現方法を使えるようになるのです。

暗記するだけでなく発声練習をする

表現方法は覚えるだけでは不十分で、口に出して発生することが重要です。

特に中国語は発音が大事なので、正しいトーンと発音で発することができるまで繰り返し練習しましょう。

発音は頭でわかっていても実際に口に出してみると上手く言えないことが多いです。

口に出してみることで、その表現方法とその音を同時に頭の中に記憶することができるので、必ず声に出して練習しましょう。

暗記と発声練習はリスニング能力UPにも効果的

このようにストーリーを丸暗記して発声練習をすることでスピーキングができるようになるのです。

同様に、暗記と発声練習をすることでリスニング能力もあがります。

相手が言った文章とその音が、予め自分の中にあれば、その内容を理解する事が出来ます。

要は、自分が言えることであれば、それと同じことを相手が言った場合も理解できる、ということです。

ですので、暗記→発声練習を数多くこなして、自分が使いこなせる表現方法とその音を増やしていく事が動的な語学能力を高めるコツなのです。

このように事前に言語の表現方法と発音をインストールした状態で、実践会話に臨むことで、より効率的に会話力を上げることができるのです。

覚える対象は、上記のようなストーリーでも良いですし、よくある日常会話表現集などでも良いでしょう。

大事なのは 暗記して発声練習するという事なので。

まとめ

いかがでしたか?

語学のマスターには以下の5つの能力を高める必要があることを説明しました。

そして、それらは静的、動的、翻訳という3つのカテゴリーに分けられます。

  1. リーディング(読み)
  2. ライティング(書き)
  3. スピーキング(話し)
  4. リスニング(聞き)
  5. 翻訳
  1. 静的な能力:ひとりで完結することができる静的な側面を持ったリーディングとライティング
  2. 動的な能力:他の人との交流が必要となる動的な側面を持った、スピーキングとリスニング
  3. 総合能力:ある言語を他の言語に変換する翻訳

静的な側面では高レベルだが、動的な能力が伸びないという場合は、対象言語の表現方法と発声方法を自分にインストールする事が必須です。

言語を自分にインストールするためには、その言語で書かれたストーリーや日常会話表現をひたすら暗記し、暗記した表現方法を口に出してアウトプットする練習が不可欠。

その状態で実践会話に臨むことで効率よく言語を吸収することができるようになります。

あなたも動的言語能力のボトルネックにはまってしまったら、初心に戻って暗記と発声練習の修行を積んでください。

きっと驚くほど速いスピードであなたの動的語学能力が向上します。

では、また。


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